ユーロ/円相場は、130~132円のレンジでやや弱含みの展開になっている。欧州経済の減速懸念が蒸し返されていることに加え、円安圧力に対する修正圧力もあり、5月9日以来のユーロ安・円高水準になっている。特に積極的にユーロ売り・円買いを仕掛けるような動きまでは見られないが、これまでのユーロ高・円安局面の踊り場が既に1週間以上にわたって 続く状況になっている。
4月のユーロ圏失業率は前月比+0.1%の12.2%となり、過去最悪を記録している。5月製造業指数が前月の46.7から48.3まで改善するなど景気減速懸念がパニック化する状況にはないが、全般的に政策対応の必要性が高まる状況が、ユーロの上値を圧迫している。6日の欧州中央銀行(ECB)理事会に関しては、政策金利の変更は行われない可能性が高い。前月に利下げを行った際には、ドラギ総裁が必要とあれば追加行動を起こす用意があると表明していたが、現段階ではそこまでの差し迫った危機感はないとみられる。ただ、方向性としては追加利下げが検討されていることには間違いがなく、理事会後の記者会見でドラギ総裁が欧州経済ファンダメンタルズの弱さに言及するようなことがあれば、ユーロに対する戻り売り圧力が強まろう。
もっとも、最近のユーロ安に関しては、欧州経済の減速懸念といったユーロ独自要因よりも、リスク投資全体の地合が不安定化している影響が大きいと考えている。未だ世界の株式市場は不安定な値動きを続けており、「株安→ユーロ安・円高」フローが継続する可能性は否定できない。ただ、リスクオンの地合に回帰すれば、ユーロ/円相場はドル/円相場同様に再び地合を引き締めよう。一時的な調整局面との理解で良いと考えている。
今後1週間の予想レンジは、129.00~132.00円。